MKU's View

経営戦略論・組織論を研究しているMKUのブログ。 書評やウェブ上の気になった記事などを載せていきたい。 私自身の思考トレーニングの側面もあるので、まとまりの良さよりも、ちょっとした「引っかかり」を中心に投稿を行っていきたいと思っている。



Sunday, January 28, 2007

ドラッグストア出店鈍化のニュース

都市部でのドラッグストアの出店ペースが鈍化しているとのニュースが1月27日付け日経新聞で報道された。
都市部の出店には過剰感があり、マツモトキヨシは当初出店計画90店舗の予定が54店舗に留まり、業界二位のカワチ薬局も6割程度、サンドラッグも55店舗と当初計画に15店届かなかったとのこと。
これは、都市部の主手店余地が少なくなっているためだが、考えてみれば店舗用地とは有形な経営資源の典型であると言える。よい場所に出店することが出来れば、競争優位性の源泉になるし、同じ場所がない、ということからすると、持続的な競争優位性につながる。主要な出店用地を先行して押さえてしまえば、参入障壁となるという言い方もできる。

しかし、同記事の最後には先日当ブログで取り上げたコスモス薬品も取り上げられており、同社は06年度当初計画よりも5店多い42店を出店する見通しとのこと。「商圏人口を他社の半分程度の一万五千-二万人に絞り込んでいるため、柔軟に出店できる」とは、同社が記事の中で語った内容であるが、これこそ戦略的な出店と言えるだろうし、競争のダイナミックな転換を見ることが出来る。
つまり、他社は同じ環境で競争をしているために、魅力的な土地という経営資源獲得の機会が限られていくのに対し、コスモス薬品は別な環境を創造し、その中で事業を展開することによって、同じドラッグストアでも違った対象を魅力ある経営資源として捉えているのである。これによって、競争の軸が異なるものとなっている。先日のブログで書いたように、出店政策の違いを支えるEDLP(Everyday Low Price)や従業員の効率的・高改善意欲のオペレーションなどが、同社の戦略を支えている。

何をもって有価値な資源と見るか、というのは競争戦略を考える上で重要なポイントである。業界上位のドラッグストアが出店で苦戦する中で、別な軸で価値を捉えて事業を展開するコスモス薬品は、そもそも環境をどのようなものとして見るのか、という観点の違いがベースにある。興味深い事例である。

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